ケニードーハムと春
完全に時差ボケで2:00に目が覚めてから、なかなか眠れず意味なく仕事のことを考えたりする。夜中に妄想したものは大抵良いものがなく、意味のないことがぐるぐると浮かぶ。朝方になり、音楽室でレコードを聴いてみることにした。
Kenny Dorham/ Blue spring Riverside (stereo original)
裏ジャケットの曲名を見てもわかるようにこのアルバムはSpringにちなんだ曲を取り上げている。
トランペット、アルトサックス、バリトンサックス、フレンチホルンの四管。ソリストとして1番目立っているのは、アルトサックスのキャノンボールアダレイ。キャノンボールのアルトの吹き方は、スピード感のあるフレーズにハーフタンギングなどを入れて緩急を付け、おまけにダイナミクスがある。おまけに音もでかいのでリーダーのケニードーハムよりも目立ってしまう。最初聴いた時は、これはキャノンボールを聴くためのアルバムだなと思っていたが、何度か聴いてみるとそうではないことがわかった。
聴きどころは、ケニードーハムの春にぴったりの爽やかなアレンジである。このアレンジがいかにもケニードーハムであり、派手さはないが、美意識を感じさせるのだ。アルバム全体がケニードーハムの音楽であり、キャノンボールは華を与えている役割。これがキャノンボール以外のアルトならさぞかし地味なアルバムになったであろうなぁ。
https://m.youtube.com/watch?v=A0WH8tsuZZk
https://m.youtube.com/watch?v=SQa6t28fQtE
名盤ではないが、佳作というべきアルバムで定期的に聴いてしまうアルバム。
朝に気分が良くなるジャズ
日本に帰国してから、身体がだるい。どうも梅雨の影響らしく、梅雨の季節は気圧の変化により、内耳の調子が悪くなることで体調を崩しやすくなるようだ。気温も高く蒸すので、発汗できずに身体にこもるのも良くないらしい。
そんな梅雨の天気に気分が良くなるレコードでも聴くことにした。
最近買ったのは、ノラジョーンズのデビューアルバム Come away with meである。
恥ずかしながらこのアルバムがリリースされた当時まったく関心がなく、最近まで未聴であった。
声が瑞々しく、ジャズというよりカントリーに近い。驚くのは音質がかなり良く、まるで近くで歌っているかのようだ。こういうアルバムはカフェなんかで聴くのが最高だろうなぁ。
NYから帰国して
土曜日に帰国。
ニューヨークでは、ヴィレッジバンガードでマークターナーを生で見たりしたが、マークターナーはオットーリンクのアーリーバビットのラバーにリガチャーはブリルハート?を合わせていた。リードは硬そうな印象。音量は大きくもなく、小さくもなくちょうど良い感じだ。
日本人の勝手なイメージとして、外人は身体がデカイから音もデカイイメージがある。でも実際は外人で上手い人ほど、音量は普通だったり、人によっては小さい場合すらある。それをマイクで補正して音量を大きくしているんだな。音が良いと思う人ほどこの手法でやっている。例えばスコットハミルトン。彼はマイクのセッティングに超神経質らしい。張りのある古き良き時代の音だが、バランスアクションにオットーリンクのフォースターなら音色重視のセッティングなのがわかるだろう。だから音量はあんまり問題ではない。
話を戻すとここ数年、ニューヨークでは、ジョシュアもシーマスブレイクもラバーを使っており、マウスピースはオットーリンクのラバーが人気があると思う。私もメタルよりはラバー派でメタルよりもラバーのほうが音が深く、エッジが出ないが今ニューヨークで流行っているジャズには合っている。
私が最近使っているのは、オットーリンクのスラントJAモデル(開きは不明) 。
このマウスピース、音色はナチュラル。開きは5-6くらいかなぁ。スラントだから良いという訳ではないが、特長がないプレーンさが良いのだろうなぁ。音は奏者が作るという点ではこれがベストなのかもしれない。
バードランドへ
めぼしいライブがなく、仕事も早く終わったので夕方からたまたまバードランドでやっていたトラッドジャズを聴いてみることにした。
同じニューヨークでもヴィレッジバンガードのように最先端のジャズもあれば、アメリカの古き良き時代のジャズもある。演奏を聴いているだけでその時代にタイムスリップしたような気になるから不思議だ。例えばトランペット一つとっても吹き方の癖や音色がその時代をよく表現している。例えばビブラートであったり、ブレスであったり。フレーズも繰り返しフレーズを多用したり、別の曲から引用したり。まさに自由自在で音楽をその場で作っている感じがした(当然譜面は見ていない)。演奏は楽しく熱いが、頭はクールで楽器はもちろんのこと音楽もコントロールされている。感情や勢いで演奏していないからか、アンサンブルが綺麗だ。
トラッドだからモダンよりも簡単で劣っている訳ではない。トラッドはトラッドなりの一流の演奏というのが存在する。日本人がトラッドを演奏すると、芸能という言葉がしっくりくる。アメリカ人が演奏すると自然なんだなぁ。
NYのジャズ
仕事でニューヨークへ。
今回の旅程でジャズを楽しめるのが、6/11-15なので初日を逃すと3日間。このうち食事会もあるので実質は2日間になり、その2日でニューヨークの色々なジャズクラブのスケジュールを調べたところ初日のマークターナー以外でピンと来るものがなかった。
JFK空港からバスに乗りマンハッタンへ行こうとしたが、なかなかバスがこない。ようやくバスが来たら今度は渋滞でマンハッタンに行くまで結構時間がかかる。前もって日本でオンラインでチケットを買っていたので間に合わないかなあと思いながらバスから降りてタクシーを拾ってヴィレッジヴァンガードへ。
日曜日だからかお店は超満員だった。オンラインでチケットを買ってなかったらまず座れなかったし、演奏が見れない席だった。ちゃんと席が用意してくれていた。ありがたい。
メンバーはこちら。マークターナーがリーダーでトランペットとの2管カルテット。
オリジナル曲の演奏で特に印象に残ったのが、リズムセクション。マーカスギルモアのドラムのビートの出し方は、いわゆるチーチキチーではなく、ポリリズムである。ベースもバッキングというよりもソロを取りながらビートを出している感じ。フロントのトランペットとサックスだけが良く耳慣れたソロの形だった。トランペットはリーモーガンやフレディハバードを彷彿させる気持ちの良いパリッとした音色。音量もマイクを使いながらちょうど良い音量が客席に届く。マークターナーはコルトレーンのようなシーツオブサウンド。エッジがあって良い音だった。1人1人がソロを取るような旧来の形でもなくテーマとソロの境界が曖昧だった。
同じバンドでの演奏がYoutubeにあったのでリンク
https://m.youtube.com/watch?v=yxqjAgaxyVM
私が馴染んでいるのが50-60年代のジャズでいまから60年ほど前のジャズである。私たち日本人がやっているのはモダンジャズでもアメリカでは古典なんだろうなぁ。おそらく枯葉とか誰もやってないし、きっとジャズ喫茶全盛の時代からあんまり変わってないのかも。。
今、ジャズは確実にアメリカで進化していて、学生から若い女性まで楽しんでいたのが印象的。お客もこの音楽を理解して楽しんでいるようだった。それにしても日本とだいぶ環境が違うと感じたライブだったなぁ。
ジャズ喫茶ヤマトヤ
京都の文化センターでとある学会のセミナーを受けた後になんとなくネット検索していたら、ジャズ喫茶のヤマトヤが近いことがわかった。
ハンクモブリーのソウルステーションをリクエストしたが、肝心のマスターがいないのでなかなかレコードが見つからない。。娘さんらしき人が必死になって探してくれた。
店内に円やかなサックスの音が広がる。
心がゆっくりと休まっていく。
京都は時間の流れがゆっくりしている。決してせかせかしていない。
東京は利益、効率化、お金、物、SNSなどいろんなものが求められる。そして疲れる。
若いうちは良いのだろうけど、オヤジになった私にはやや生きづらい。
その点、京都に来るとまぁどうにかなるよなぁって気になる。
好きだなぁ。
大阪のレコード屋さん
Waxpendさんは通販を利用して何度もレコードを買っているが店舗に行くのは初めて。
お店の方は非常に親切で良い方であった。だいたいのジャズのレコード屋さんの店主はくせもので気楽にお店に行けない私。。何も買わずに帰りづらい雰囲気になり、気まずくなるのであまり立ち寄らない。Waxpendさんなら気軽に立ち寄れそうだ。
アートファーマーのファーマーズマーケットを購入。オリジナルは高価すぎるのでセカンドの溝なし。
しかしピカ盤で気持ちよく聴ける。New jazzレーベルはかぜひきがあるので注意だが、これは大丈夫。