子供の感性
久しぶりに3歳の娘にサックスを聴かせる。
サックはアメセルマーク6の9万代である。曲はHank MobleyのDis I dig of you。
娘は一言。音が薄いね、銀色のサックスのほうがいいよと。
ちなみに銀色のサックスというのは、サブ楽器として持っているConnのチャーベリーのシルバープレートのこと。たぶん、なんとなくそう思っただけと思ったら、娘が続けていう。
試しに銀色のサックスを吹いてごらんよ、そっちのほうが音がいいから。
私自身、Connのほうが音が良いとわかっている。3歳の子供でもわかるんだなと感心した。ちなみにうちの娘はほぼ毎日ジャズを聴いて、アマチュアやプロのライブに行き、家ではレコードを聴かせている。かなりジャズ耳になっていそうだ。
演奏する機会
思えば、最近はセッションにもいかず、ライブもしていない。やる気がなくなったのか?というとそうでもなく、自宅の防音室でずっとサックスの練習をしている。フレーズを作っては試しの繰り返し。
ジャズというのは、個人技としてのボキャブラリーがあって初めて演奏時の会話が成り立つ。ボキャブラリーがないと会話にならないのは我々が普段行う会話と同じ。普段の練習では、カラオケをバックに練習しているが、実際に人と合わせた場合に音の会話ができると嬉しい。
過去にいろんな場所で演奏したが、音の会話はしていなかった。というかできなかった。
それができないなら人と演奏するのも申し訳ないと思うようになり、まずはジャズで自分の言葉で会話ができるようになろうとフレーズを作ってみたりとよく考えるようになった。とにかくこの作業は時間と根気を要する。
修行僧のような気分であるが今はこの作業をやるのが間違いない。
小粒だが秀作
最近の自分の好きなレコードの傾向は、派手ではないけど聴いているとなんとなく良いなという作品が多い。MilesでいうとMusings of milesとかwith modern jazz giantsなんかがそれに当たる。おそらく多くの人が好きなアルバムは、Kind of blue, Round midnight, Relaxin', Cookin'あたりだろう。
今日はまた渋くMiles Davis Quintet/Sextet
個人的にはB面のリラックスした雰囲気が好きだ。リラックスというと締まりのないダレた演奏もあるが演奏が良い。気分がなんとなく焦っている時や忙しい時に聴きたいアルバム。
アナログプロダクションのHQ180シリーズが気になる
ダグサックスのマスタリングが好きだ。クリアなんだけど、楽器一つ一つの音がどっしりしている。かといってドンシャリでもない。ベンウェブスターの音は意外と小さく、リズム隊のほうが音が目立っている。特にドラムはスネアの音が大きくて、時たまにびっくりするほど迫力がある。躍動感に満ちている。高音質という言葉がふさわしい。
解体的交感
ギターの高柳昌行とアルトサックスのデュオ(というよりも対決?)である解体的交感がアナログ復刻するとあり、話題になっている。
あまり話すことはないが、私のジャズの入り口は阿部薫のアルトサックスソロによるフリージャズである。大学の時にたまたま阿部薫のアルトを聴いてなんて凄い音なんだと感激した。綺麗な音でメロディを吹く訳ではなくひたすら吹きまくる音はまさに命の音のように当時の私には響いた。
それがある時期から全くフリージャズを受け入れられなくなる。阿部薫のもつアングラな感じや批評家の意味不明な解説も気持ち悪くなってしまった。フリージャズ自体も行き場をなくなり、フリージャズ自体が本来自由なはずが、型のようなものが作られ勢いを失う。今ではフリージャズもバークリーで教える時代にもなっており、フリージャズ自体が形式のあるジャズの一部になった感もある。
レコード店のマスターと話をした時に、フリージャズがわからなくなったというとあれは観て楽しむということもあるとのこと。確かにこの解体的交感もライブで聴くことができたらもっと違う印象になるかもしれない。とはいえフリージャズ自体が人気は全くないと思われるが誰か演奏しているのだろうか?
秋へ向かう季節
朝起きてすぐにジャズをレコードで聴く。淹れたての珈琲があればいうことはない。
そんな朝に聴くマイルス。
Musings of Miles/Miles Davis
マイルスの作品はコンセプトがしっかりしている。このアルバムでは、ピアニストのアーマッドジャマルに影響されて間を活かした音楽を作ろうとしたとあるが、マイルスのアドリブを聴く限り、ソロにスペースを作るというよりはバリバリ吹いていたりする。ワンホーンで聴きやすく味わいのあるアルバム。やはり私はプレスティッジ時代のマイルスが好きだ。