レコード掘り

仕事が終わり、ふらっとジャズ喫茶でビールを飲んでレコードでも聴くかと思い店に行くと開店前で少し時間があった。時間つぶしで近くのディスクユニオン神保町店でレコードをDigってみることにした。

神保町店は、クラシック、Jpop、ジャズ、ロックなど雑多な印象でどこかのジャンルに特化はしていない。ジャズでいうと高価なオリジナル盤もなければ、セカンドプレスもない。だいたいが国内盤か、OJC盤で安価にアナログを楽しむのには適している。特にOJC盤は未開封のものもいくつかあったなぁ。残念ながら私にとってぐっとくるレコードは見つからないかなぁと思ったら、一枚だけ奇跡的に見つかった。

 ヘイ!ベルーベック/テイクファイブ(CBSソニー)

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 私は日本盤が好きではないのだが、このレコードは日本のプレスにしては珍しく音質が素晴らしい。おまけにベスト盤なので演奏も良い。おまけに1000円と値段も安かった。こういうレコードを暇な時に偶然見つけたというのが嬉しい。レコード趣味というのは、お金さえあればアメリカのオリジナルプレスの傷のないレコードを入手することは簡単である。お金がない場合はこういうレコードをマメに探すしかないが、探すこと自体が楽しいというのもまた良いのだ。

 

ブルーベックのピアノはキャッチャーな繰り返しのフレーズが多い。リズムの上でこのフレーズが何度も繰り返されることはどこかクラブミュージックに通じるものがある。リズムだけで楽しいし、心が踊る。ソロも良いが、ブルーベックの良さはソリストというより音楽自体の個性なんだろうな。

梅雨とマイルスと

曇天からの雨。梅雨らしい一日の始まり。

なんとなくではあるが、キャノンボール名義のマイルスのアルバムの枯葉のイントロが今日の天気に合う気がした。

 https://m.youtube.com/watch?v=l9Kb2AJHwLQ

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マイルスについては、Blue noteよりもPrestigeやColumbiaで残したアルバムのほうが音楽もそうだが録音も好きだ。そのためこのアルバムはあまり聴くことはないがなぜかこのレコードを2枚持っている。

 

レコードは不思議で同じ時期のプレスでも音の鮮度が違う時がある。これがCDと違うところで、2枚のうち一枚は傷があってノイズを拾うが、キャノンボールやマイルスの音が生々しいフロント重視の一枚。一方、もう一枚は綺麗なレコードで全くノイズを拾わないが、フロントの音がおとなしく、逆にベースやドラムの音がしっかり聴こえるリズム隊重視の一枚。初めは前者のほうが良いような気がしていたけど、何度か聴くうちに後者のプレスが好きになった。それでもなんか心に引っかかるものがあり、前者のレコードも手放さないのである。おっと、余談が長くなった。

 

A面の枯葉からマイルスの世界観でその美意識が表現されている。これは脳天気な?キャノンボールにはない感覚だろう。その意味でこれはマイルスのアルバムという意見もわかる。これがB面になるとキャノンボールの存在感が増してくる。ジャズ喫茶ではB面を聴くようだ。なんかわかる気がする。

 

ケニードーハムと春

完全に時差ボケで2:00に目が覚めてから、なかなか眠れず意味なく仕事のことを考えたりする。夜中に妄想したものは大抵良いものがなく、意味のないことがぐるぐると浮かぶ。朝方になり、音楽室でレコードを聴いてみることにした。

Kenny Dorham/ Blue spring Riverside (stereo original)

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裏ジャケットの曲名を見てもわかるようにこのアルバムはSpringにちなんだ曲を取り上げている。

トランペット、アルトサックス、バリトンサックス、フレンチホルンの四管。ソリストとして1番目立っているのは、アルトサックスのキャノンボールアダレイ。キャノンボールのアルトの吹き方は、スピード感のあるフレーズにハーフタンギングなどを入れて緩急を付け、おまけにダイナミクスがある。おまけに音もでかいのでリーダーのケニードーハムよりも目立ってしまう。最初聴いた時は、これはキャノンボールを聴くためのアルバムだなと思っていたが、何度か聴いてみるとそうではないことがわかった。

 

 聴きどころは、ケニードーハムの春にぴったりの爽やかなアレンジである。このアレンジがいかにもケニードーハムであり、派手さはないが、美意識を感じさせるのだ。アルバム全体がケニードーハムの音楽であり、キャノンボールは華を与えている役割。これがキャノンボール以外のアルトならさぞかし地味なアルバムになったであろうなぁ。

https://m.youtube.com/watch?v=A0WH8tsuZZk

https://m.youtube.com/watch?v=SQa6t28fQtE

 

名盤ではないが、佳作というべきアルバムで定期的に聴いてしまうアルバム。

 

 

朝に気分が良くなるジャズ

日本に帰国してから、身体がだるい。どうも梅雨の影響らしく、梅雨の季節は気圧の変化により、内耳の調子が悪くなることで体調を崩しやすくなるようだ。気温も高く蒸すので、発汗できずに身体にこもるのも良くないらしい。

 

そんな梅雨の天気に気分が良くなるレコードでも聴くことにした。

最近買ったのは、ノラジョーンズのデビューアルバム Come away with meである。

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恥ずかしながらこのアルバムがリリースされた当時まったく関心がなく、最近まで未聴であった。

声が瑞々しく、ジャズというよりカントリーに近い。驚くのは音質がかなり良く、まるで近くで歌っているかのようだ。こういうアルバムはカフェなんかで聴くのが最高だろうなぁ。

NYから帰国して

土曜日に帰国。

ニューヨークでは、ヴィレッジバンガードでマークターナーを生で見たりしたが、マークターナーはオットーリンクのアーリーバビットのラバーにリガチャーはブリルハート?を合わせていた。リードは硬そうな印象。音量は大きくもなく、小さくもなくちょうど良い感じだ。

 

日本人の勝手なイメージとして、外人は身体がデカイから音もデカイイメージがある。でも実際は外人で上手い人ほど、音量は普通だったり、人によっては小さい場合すらある。それをマイクで補正して音量を大きくしているんだな。音が良いと思う人ほどこの手法でやっている。例えばスコットハミルトン。彼はマイクのセッティングに超神経質らしい。張りのある古き良き時代の音だが、バランスアクションにオットーリンクのフォースターなら音色重視のセッティングなのがわかるだろう。だから音量はあんまり問題ではない。

 

話を戻すとここ数年、ニューヨークでは、ジョシュアもシーマスブレイクもラバーを使っており、マウスピースはオットーリンクのラバーが人気があると思う。私もメタルよりはラバー派でメタルよりもラバーのほうが音が深く、エッジが出ないが今ニューヨークで流行っているジャズには合っている。

 

私が最近使っているのは、オットーリンクのスラントJAモデル(開きは不明) 。

このマウスピース、音色はナチュラル。開きは5-6くらいかなぁ。スラントだから良いという訳ではないが、特長がないプレーンさが良いのだろうなぁ。音は奏者が作るという点ではこれがベストなのかもしれない。

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バードランドへ

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めぼしいライブがなく、仕事も早く終わったので夕方からたまたまバードランドでやっていたトラッドジャズを聴いてみることにした。

 

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同じニューヨークでもヴィレッジバンガードのように最先端のジャズもあれば、アメリカの古き良き時代のジャズもある。演奏を聴いているだけでその時代にタイムスリップしたような気になるから不思議だ。例えばトランペット一つとっても吹き方の癖や音色がその時代をよく表現している。例えばビブラートであったり、ブレスであったり。フレーズも繰り返しフレーズを多用したり、別の曲から引用したり。まさに自由自在で音楽をその場で作っている感じがした(当然譜面は見ていない)。演奏は楽しく熱いが、頭はクールで楽器はもちろんのこと音楽もコントロールされている。感情や勢いで演奏していないからか、アンサンブルが綺麗だ。

 

トラッドだからモダンよりも簡単で劣っている訳ではない。トラッドはトラッドなりの一流の演奏というのが存在する。日本人がトラッドを演奏すると、芸能という言葉がしっくりくる。アメリカ人が演奏すると自然なんだなぁ。

 

 

 

 

 

 

NYのジャズ

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 仕事でニューヨークへ。

今回の旅程でジャズを楽しめるのが、6/11-15なので初日を逃すと3日間。このうち食事会もあるので実質は2日間になり、その2日でニューヨークの色々なジャズクラブのスケジュールを調べたところ初日のマークターナー以外でピンと来るものがなかった。

 

JFK空港からバスに乗りマンハッタンへ行こうとしたが、なかなかバスがこない。ようやくバスが来たら今度は渋滞でマンハッタンに行くまで結構時間がかかる。前もって日本でオンラインでチケットを買っていたので間に合わないかなあと思いながらバスから降りてタクシーを拾ってヴィレッジヴァンガードへ。

 日曜日だからかお店は超満員だった。オンラインでチケットを買ってなかったらまず座れなかったし、演奏が見れない席だった。ちゃんと席が用意してくれていた。ありがたい。

 

メンバーはこちら。マークターナーがリーダーでトランペットとの2管カルテット。

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 オリジナル曲の演奏で特に印象に残ったのが、リズムセクション。マーカスギルモアのドラムのビートの出し方は、いわゆるチーチキチーではなく、ポリリズムである。ベースもバッキングというよりもソロを取りながらビートを出している感じ。フロントのトランペットとサックスだけが良く耳慣れたソロの形だった。トランペットはリーモーガンやフレディハバードを彷彿させる気持ちの良いパリッとした音色。音量もマイクを使いながらちょうど良い音量が客席に届く。マークターナーコルトレーンのようなシーツオブサウンド。エッジがあって良い音だった。1人1人がソロを取るような旧来の形でもなくテーマとソロの境界が曖昧だった。

 

同じバンドでの演奏がYoutubeにあったのでリンク

https://m.youtube.com/watch?v=yxqjAgaxyVM

 私が馴染んでいるのが50-60年代のジャズでいまから60年ほど前のジャズである。私たち日本人がやっているのはモダンジャズでもアメリカでは古典なんだろうなぁ。おそらく枯葉とか誰もやってないし、きっとジャズ喫茶全盛の時代からあんまり変わってないのかも。。

 

今、ジャズは確実にアメリカで進化していて、学生から若い女性まで楽しんでいたのが印象的。お客もこの音楽を理解して楽しんでいるようだった。それにしても日本とだいぶ環境が違うと感じたライブだったなぁ。